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2008年07月 アーカイブ

2008年07月01日

No.114 風営法とエコ設計 その2

問題

数年前に新築したパチンコ店の2階フロアが、空いてしまいました。
従業員寮だったのですが、今では店長しか使っていません。
以下の中で、あなたの選択はどれですか?

A:託児所やカラオケ飲食など、異業種への賃貸
  スペースにする。

B:1階のパチンコが手狭なので、2階も客席に拡
  張する。

C:自社グループの本部事務所にする。

D:別棟の駐車場棟から往来する駐車場にする。

E:建て替えるまでそのまま。

回答

2階を従業員寮として設計した場合は、最後のEの選択しかできません。
他に転用しようとしても、構造計算が強度不足となりますので、
用途変更の確認申請はできません。
新築の時点ではそれで良かれと思った、私たちの「気づき」不足でした。

将来の用途に特に指示がなければ、注文されたとおりに無駄のない設計を
するのが技術者の使命感です。
ところが、出来てしまってから流行や景気によって、転用できないかとなるわけで、
敷地に余裕が無ければ、それ向けに増築することもできず、
そのまま使いながら、なんとかしたいというのが人情。

建物の構造計算に用いる積載荷重は、部屋の用途で倍以上違います。
従業員寮は住居扱いで180kg相当ですが、
事務所や売り場・客席は290~350。倉庫は390、駐車場なら540。
建築基準法は、地震で揺れてもいきなり倒壊せず、人命の保護ができるよう定められています。
ですから、不適切な転用では、積み木崩しのように平常時はそのままで保っても、
災害時の横揺れにはひとたまりもありません。

20年~30年の建物運用が必須となれば、
空調や電気は、いくらでも増設できるのですが、
構造の補強は、無駄や無理ばかり。
横へ広げるにも邪魔な柱が、島割りの頭痛の種。
ニーズに応じて買い替えればいい車や住まいと違って、
お店はその土地こにマーケットがついた、事業用の資産。

ですから、無駄のない設計=足し算の設計 ではなく、
解体建て替えか増築・転用、当然頑丈なほど躯体コストは必要ですので、
オーナー様の許せる投資バランスの選択=個々のエコ設計 と思います。
時間もコストと見れば、近年の法改正で、申請期間が3倍増し。
既存用途変更なら早めに済む場合が多いです。

2008年07月08日

No.115 ラブホが危ない その1

問題

「ラブホテル半数無届け、風営法逃れ?「ビジネス」装う。
愛知県警、調査し摘発も」

優勝から遠ざかるドラゴンズですが、その親会社の朝刊社会面にA4サイズで冒頭掲載。
「愛知県警では東海3県523軒のうち54%が無届けで、全国平均48%を上回ることが判明。
犯罪の温床になるとして、今夏にも疑わしいホテルには立ち入り調査」とスクープ扱い。

では以下の中で、どれが正解でしょうか?

1:ファッションホテルだから、今までも指導されて
  なければ、関係ない。
2:ラブホテルは風俗営業とは言わない。
3:自動フロントや自動精算機、エアシューターは
  使用禁止のはずでは。

回答

正解は「2:ラブホテルは風俗営業とは言わない。」です。

風営法の第一条:(目的)・・・・・風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、
営業時間、区域を制限し、年少者を立ち入らせること等を規制する・・・・健全化に資する・・
・・・適正化を促進する・・・・目的とする。

このように、正確には「風俗営業」と「性風俗関連特殊営業」と区分されています。
そして次条に用語の定義がされています。

第2条:(用語の意義)第1項:「風俗営業」とは次の各号のいずれかに・・・・。
この七号にまーじゃん屋、ぱちんこ屋のくだりがあることから、パチンコは「7号営業」になっています。
しかしこの「風俗営業」には「ラブホテル」という用語はありません。

どこに該当するかとなると、
第5項:「性風俗関連特殊営業」のくだりに「店舗型性風俗特殊営業」が登場し、
第6項:「店舗型性風俗特殊営業」とは次の各号のいずれかに・・・・。
この四号に、「異性を同伴する客の宿泊・休憩・・・に利用させる営業。」とあります。
これがラブホテル・モーテルなどに適用されます。

参考までに、一号は浴場業の個室で異性客に接触する役務を提供する営業で、
二号は前号以外の個室で異性客の好奇心に応じて役務を提供する営業です。
わかりやすい?法律用語ですね。

<設問1:ファッションホテルだから、今までも指導されてなければ、関係ない。>

ファッションホテルという分類は、旅館業法にもありません。
あくまで、自称・通称の分類。ラブホのイメージ戦略に過ぎません。
旅館業法と風営法という、縦割り行政の隙間が、事業の基盤に見えます。
怪しい・信じられない凶行が続発する世相となり、場所を提供する業態として、
利用者を選択できない状況では、何らかの運用強化・健全化は必至。
早いか遅いかは霞ヶ関の習い性で、世論次第ではないでしょうか。

<設問3:自動フロントや自動精算機、エアシューターは使用禁止のはずでは。>

細かな構造基準は、旅館業法の手続きの中で、規制されていますが、
固有名詞で規制されたエアシューター以外は、いたちごっこの感があります。

旅館業法の許可の通りに運用されるならば、風営法は口出ししないでしょう。
しかし、どのファッションホテルも、検査後工事や、不適切な運用が多いのでは。
旅館業法で違法運用でも、風営法で営業しているなら、保健所は関わらないかもしれません。
旅館業法でも風営法でも違法営業だとしたら、立ち入りを事前通告してくれる保健所のように、
その場しのぎですまないことは、7号営業のオーナー様なら良くご存知ですよね。

次回は、不適切な運用事例を懺悔して報告したいと思います。

2008年07月14日

No.116 ラブホが危ない その2

問題

 引き続き新聞ネタを解説します。
「ラブホテル半数無届け、風営法逃れ?「ビジネス」装う。
愛知県警、調査し摘発も」

 そもそも「ビジネス装う」とありますが、旅館業の許認可で「ビジネス」という分類はありません。
大雑把ですが、和風か洋風か、旅館かホテルかという区分程度しかないです。
旅館業法での許可条件を満たさなければ、それはラブホテル(性風俗関連特殊営業)ですよ
というのが、保健所の立場でした。ましてや縦割り行政の中、事件でもない限り、保健所側と
警察の連携は心細いものです。

 この記事にあるのは、旅館業として検査を受け、許可取得されているのに、
開業後の意図的な運用ノウハウで、旅館業法の主旨に反するような見逃せない実態なので、
そろそろ摘発してみるかと、重い腰を上げたように思います。

 こうした「ビジネス装う」という事業の背景に該当するのは次のどれでしょうか?
1:規制が緩い。  
2:立地条件。  
3:事業収支。

回答

全問とも背景に該当するのです。

1:規制が警察より緩いから。 → 立ち入り検査に事前告知が前提の行政です。笑止千万な 
からくりのような検査対応の備えもあったりです。罰則もそうですが、そもそも風営法では18禁。

2:立地条件。 →  禁止区域・保護対象施設・近隣配慮。パチンコよりも距離規制は広いです。
地元への面倒を避けたいのは人情ですが、用途的にどこでも迷惑施設とされる宿命でしょうか。

3:事業収支。  →  何分で部屋の掃除・リネンセットができるかが、売り上げを左右する業界?
1日2~3回転の高稼働を前提にしてます。

 ラブホテルの設計は、パチンコ店の数倍難しいのです。
大きな声と笑顔で「いらっしゃいませ!」と出迎えできないという違いもありますが、
事前の申請手続きがてんこ盛りで、ゴールが遠いということでしょうか。

 ホテルを新築する場合は、確認申請よりも先行して、行政の首長宛に旅館業法の届けが必要です。
その申請には、図面だけでなく、外観・客室・玄関ロビー・フロント周りなどを、
内外装の仕上げまで決定して、カラーのパースが必要になります。

 プランでは、フロントで対面して鍵の受け渡し、宿泊者の記帳ができる構造であるか。
利用客向けの食堂や会議室、洗面所などが所要面積を満たしているか等の基準で、
フロントからエレベーターの中が見通せるようになどまで、チェック。外観の形状や色合いだけでなく、
看板ネオンの色まで注文がつくのです。ごり押しできない世界なので、オーナー様のご不安や設計者のストレスは大変。

 オーナー様からすればそのリバウンドでしょうか、開業後の不適切?な運用ノウハウは、スゴイのです。
では自戒をこめてまた次回!

2008年07月22日

No.117 ラブホが危ない その3

問題

「 偽装ラブホテル は全国で3593営業所 」 だそうです。 
ちなみに、正規?の風営法届出は、全国で3963営業所。(共産党への警察庁報告)

問題:
最近話題の山本さん達は、宿泊者名簿に記帳していないと思いますが、どうしてですか?

①酔っ払っていて、退出時にしてもらった。
②ホテル側のサービスで、仮名で書いたことに
  なっていた。
③風営法の届出施設(モーテル・ラブホテル)だ
  から不要だった。 

ちなみに<旅館業法>にはこんな記載が・・・・
第六条  営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を
記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。

回答

「偽装ラブホ」の震源は、国会でした。
各都道府県警も、自県の偏差値が気になったのでしょう。

①酔っ払っていて、退出時にしてもらった。
  → ありえません。
②ホテル側のサービスで、仮名で書いたことになっていた。
  → 旅館業法で営業しているのであれば、条文にあるように記帳が必要のはず。
代筆したり、ホテル側での操作があれば、これが偽装にあたります。

③風営法の届出施設(モーテル・ラブホテル)だから不要だっ
  た。
  → 以下のように、旅館業に該当しない場合は、風営法の届出対象になります。

風営法施行令 第三条
 (法第二条第六項第四号の政令で定める施設等)
●第一項第二号
・・・食堂・ロビーの面積が収容人員に対し一定数値に達しないもの。
●第二項
・・・客との面接に適するフロント・玄関帳場などにおいて、常態として宿泊者名簿の記載、宿泊料金の受渡し及び客室の鍵の授受を行う施設を除く。・・・


他にも店舗型性風俗特殊営業(モーテル・ラブホテル)では、規制があります。

未成年者も宿泊できる旅館業法に対して、18歳未満は入場禁止。
保護対象施設から200mは営業禁止区域。
振動または回転するベッドや1㎡以上の特定用途ミラーが設けてある施設。
(客室のエアシューターは旅館業ではNG)

国会では共産党の先生が、頑張ってとりあげていますので、一般紙でも注目されてきました。
警察では「 偽装 」ではなく、「 類似ラブホテル 」としてチェックしているようです。
こうした塀の上を歩いているかのような、ホテルオーナー様が全国の半数という業界は、
この先是正は必至と思います。

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