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2005年11月 アーカイブ

2005年11月07日

第140号 「優しい金持ち・厳しい金持ち」

数年前、税務署の調査を受けました(・・・モチロン脱税ではなく、定期調査です!)
当然何事も無く調査が済み、
雑談中、担当者が面白い話しをされました

“お金儲けた人は、苦労した人が多い
しかし、苦労して(他人に)優しくなる人と、
                厳しくなる人に分かれる“
と・・・
多くの調査を通じて、欲望の裏側を多く見てきた人らしい含蓄のある言葉です

その差は何処から来るのだろうかと時々考える・・・
お金儲け(経営者)に2種類ある気がする

1つは、ハングリー型
・・・、お金が無かった頃の、世の中の厳しさ・苦しさを味わった事が働く原点で
“お金儲けの為なら何でも(・・・脱税も不正ロムも・・・?)するぞー”と、そのハングリー体験・反骨精神がお金への執着心を燃やすタイプ

従ってお金は自分(だけ)の努力の成果と思いがち・・・
・・・戦後の厳しい時代を生き抜いた“一世経営者”にこのタイプが多いが、時代背景を考えると、やもうえない気もします

2つめは、ドリーム型
事業は夢の実現であり、お金は大事だが、お金だけがストレートな目標ではなく、夢の実現・事業繁栄の結果、“お金は、ついて来る物”と思うタイプ
従って、事業の為には、先ず人・組織を大事にし、事業繁栄・お金儲けは自分だけの力ではなく、社員や出入り業者の努力の結果であると考え、“成果”を大事にする

働く原点が
“食うや、食わず”の過去の苦労ではなく、
夢の実現・達成感へのチャレンジと、
“資金繰りの苦労体験“から来る、安定経営・充実した内部留保獲得がメインで、当然、最近のITも含んで若い経営者の多くはこのタイプが多い

ココまで書いて来ると
ははーん!・・・ハングリー型が他人に厳しいタイプで、
            ドリーム型が人に優しいタイプか?
とタムラは言いたかったのか?とお思いでしょう

・・・そう書ければ、事は簡単なんですが・・・体験上は、逆が多い気がします

苦労が顔を作ったのか?
・・・一見コワオモテの海千山千の、年配経営者は、直ぐ値切るし、トッツキは悪いが、(しばらく付き合うと)意外に内面は優しい人が多い

反して、意外にも“ドリーム型”に、
トッツキは良いが、実際は(ドライ)で、実務上はかえって厳しい人が多い

今風に言うと“アナログとデジタル”でしょうか?
・・・デジタルはデーターで“情”が、入り込めない気がします

こうした“古き良き(アナログ)経営者”が時代と代替わりで、最近急減しているのが残念です
“若い(デジタル)経営者は、こうした一世経営者の懐の深い優しさを学んで欲しい“と最近思います

そして
情を持ち合わせた
“優しい金持ち”になり、
世の為・人の為に、そのお金を使って下さい


(・・・優しくても、金持ちに成れないタムラからの、お願いです・・・?)

2005年11月14日

第141号 「昔の日本にあって、今の日本に無いもの・・・」

先週のメルマガの“転生人誤”に、最近多発する親子間・子供間の悲惨な事件へのコメントを記したら、読者から共感の返事を頂き、改めて書いてみたいと思いました

今年58才の私が小さい頃、“殺人事件”など滅多に発生しなかった
タマニ起きるなら新聞の第一面に載るほどの大きな扱いで、しばらくは事件の経過・背景への考察記事が続いていたと記憶する

しかるに最近の日本は、殺人事件でさえ“日常化”し出した
殺人事件は、他人同士の“怨恨”とか“痴情”・“金銭トラブル”と思っていたら最近は“親が子を・・・”・”子が親を・・・”・“子供が子供を・・・”
なんて昔の日本からは考えられない悲しい事件までおきだした・・・日本は病んでいる

親が子にしてやるべき何かが不足しているのか・・・?
しかし遥かに貧しく・ほとんどの親は子供を振り返る時間も無いほど忙しく働いていた昔の日本に、こんな事件は無かった
理由が見当たらない・・・昔と今は日本は何処が違うのか?

・・・“昔の日本にあって、今の日本に無いもの”はなんだろう・・・?

“今有って、昔無かった物”を探すのはた易い
TV・洗濯機・冷蔵庫・車・お菓子・インスタントラーメン・ハンバーグ・ファミコン・パソコン・パチンコのフィーバー機・・・思い付くまま書いても書き切れない
・・・“物”で、今の日本に無いものを探すのは難しい
・・・“物”は日本人をそれほど幸せにしなかったのか?

では
“衣食住”足りて何故事件は起きる?

・・・・・・・・・・・・
中国に時々行く
深夜まで必死に働く彼らの姿に昔の日本がダブル
今の中国と同じように、“生きる・生き抜く”為に働き続けた時代の日本に、今ほどの悲惨な事件は無かった

戦後60年かけて日本は豊になり、(昔ほどの)貧困は日本から無くなり、代わりに、凶悪事件が増えだした

進歩・繁栄は人々を幸せにしなかったのか?
繁栄・富が事件を生むのか?

企業も、創業時全社一丸となって必死に働く頃、社員間・役員間でトラブルは少なく、
繁栄し富が生まれ出すと“分配”を巡って、仲間割れが起きるという
・・・株式公開直後に幹部社員・役員が去った企業も多いと聞く

パチンコ業界もフィーバー機の出現以降、爆発的に利益が上がりだし、出店ラッシュが始まり、出店地を巡って、兄弟間・親戚間でも“骨肉の争い”が始まり、多くの企業で富・繁栄と引き換えに、“親戚づきあい”を失った

パチンコ業界も“フィーバー機の前に有って、今無い物”を探す必要は無いでしょうか?

富・繁栄から得られる“物”は、刹那的な“満足感”をもたらすが、満足感は真の幸せではない、
日本人が追い続けた、富・繁栄は、真の幸せをもたらさなかったのでは??

個人個人も、企業も幸せは、“生”へのベクトルの過程の“状況”であり、物欲や金銭欲の“結果”ではない気がして成らない・・・

・・・・・・・・・・
スイマセン
全く結論の無い
暗い話しで・・・一年に一度位は我慢して下さい・・・

<追加>
“切れる”犯人に、私は昔無かった“食品”を疑う・・・何の根拠も無いが、
“真犯人”を見つけなければ、事件の犯人も可愛そうだ・・

2005年11月21日

第142号 「構造計算偽造事件」

同じ建築設計業に携わる者として、とても哀しく・ショックで恥かしい事件です
同業なので、背景は容易に推測出来ます・・・

受注が少ない(食って行けない)下請け構造事務所と、利益生命のデベロッパーの“相乗効果”が生んだのでしょうが、
両者は、自分達の職業への誇り・使命感を何処へ置き忘れたのでしょう・・・?

“最後の砦”の確認申請審査の民間機構が、その役割を果せなかった事も問題でしょう
・・・国交省が早々と“民間の事件”と発言したのは大きな誤りです・・・民間機構はあくまで“官の代行業”に過ぎないからです

(審査が早く無理が利き易い理由から)我々も民間機構を頻繁に利用しますが、
民間機構が何の責任も取らない機構なら、我々も自前物件は従来通り、役所に直に提出したほうがイイかもしれません・・・

・・・・・・・・・・・・・・

我々へも、施主からローコスト化への要望は強いが
報道で明らかになった様に、
構造計算は、国交省認定のソフトを使いコンピュ-ターで自動計算される為腕が良いから、柱や梁が細くなったり、鉄筋の使用量が少なくなるのではなく、(行き過ぎた)構造のローコスト化の本質は、耐震の安全のマージンを減らす行
為に過ぎません

空調設計も同様です
腕が良いから、空調の総馬力数が小さくなるのでは有りません
空調容量を収容人数のピーク時で設計するのか、満席時は少々の(効きの悪さは) 我慢して貰うのかの違いです

もう1つは換気です
空調機のサイズを小さくする取って置きの方法は、換気扇のサイズを小さくする事です
・・・冷えた空気や暖かい空気を放出しなければ“補給”は少なく済みます(・・・タバコ臭への我慢は少々必要ですが・・・)
従って空調設計のローコスト化も、所詮は、効きか・換気のどちらかに目をつむる行為に過ぎません

電気設計も同様です
使用する空調機のサイズ・店内の照度等である程度は自動的に決まってしまいます・・・腕の余地の少ない分野です

見積り時に、予算オーバーすると、ゼネコン側から“VE(バリュー・エンジニアリング)“と称するコストダウン提案が出される事も多いが、これも所詮は“品質ダウン”に過ぎません

ココまで書いて来ると、身も蓋も無い話しで申し訳ありませんが・・・
実は・・・身も蓋も無い話しです!!

施主側は、“品質を下げずにコストを下げて欲しい”と言いますが、
理由も無くコストダウンは無理です

何処までの品質ダウン・規模の縮小が可能かの議論をオープンに話し合うことが、
“身も蓋もある”ローコストの正攻法です

・・・・・・・・・・・・・・・

身近な事件を教材に、“本心の告白”です・・・

ある面では、そうせざるを得なかった今回の事件の主犯者が可哀想でもあり、
我々も、同様の事件を犯す危険性を持つ立場にいる事を自覚し、仕事への強い誇り・使命感・責任感を持ち続けようと思った事件でした

2005年11月28日

第143号 「構造計算偽造事件2 」

この事件が最近の最大の関心事です・・・好奇心からではなく、我々の設計業界の危機だからです
“何と言う馬鹿な構造設計士だ”と怒りつつも
“起こるべくして起きた事件“と言う気がしています

元々設計事務所の経営は大変ですが、特にバブル崩壊以降の建築不況・公共事業の減少も影響し、業界全体の経営状況は(日本の誇る日建設計ですら赤字になるほど)困窮しています

建築業界全体ではゼネコンの“設計施工”が圧倒的シェアで、全建築マーケットの95%と聞きます(・・・直に設計事務所経由の仕事は全建築マーケットの5%!)
・・・設計も工事も建築会社が受注し、設計能力が無い中小の施工会社は設計事務所に下請けに出す
更にその下に今回の構造事務所がいる

・・・設計施工は原則禁止のはずなのに、施工会社が一級建築事務所登録をすれば、設計施工がOKになると言う曖昧さが背景にある
つまり監理・検査無き建築工事(図面通り工事がなされている事を確認出来ない物件)が95%という事です

1級設計士が日本中に27万人いると言うが、大半がゼネコンの下請けで働いている事になる

この仕組みの中では(自前で生活が成り立たない以上)設計事務所の発言力がダンダン小さくなるのは当然
(悪い事と)解かっていても、お金を頂くゼネコンから頼まれれば“経済設計”してゆかざるを得ない現状がこの事件を生んだと思います

大げさに言うと、文化を軽視し経済優先で、質より量の拡大を図ってきた戦後の高度成長社会・建築業界の残した“忘れ物”です

曖昧な設計施工制度や、困窮している設計業界の現状に目をつむり、確認申請業務の強化・一級設計士制度の更新制度と言った(弱い物イジメ的)各論政策を引いても根本的解決にはならない

政治が真っ先にするべき事は、建設業界・設計業界を健全にする事です
監理体制を法的に確立する事です
その為には、設計施工の悪しき習慣を止め、設計と施工を完全分離し、クライアントから設計事務所が直に受注する制度を急ぐ事です

ゼネコンへの“遠慮”から解放され“中立化”した設計事務所は、“手抜き工事”からクライアントの利益を守るでしょう

ゼネコンも設計事務所に下請けに出す以上、業界全体のコストは大きくは違わないはずです

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかし今回の事件で一番驚くのは
たった一人で“国を揺るがすほどの、パニックを起せる”と言う日本国の脆弱さです

元請設計事務所のチェック・検査機構・現場監理等いくつものハードルを簡単に越え“倒壊予定ビル”が37棟も建ち
この事務所は5年間で、190棟以上の構造計算をし、まだ被害が増える可能性がある・・・

既に、建設会社が1社倒産し180名もの社員が失業し、元請設計事務所からは自殺者まで出て、
近々に“トリアエズ”37の訴訟が始まる・・・元請設計事務所・検査機構・施工会社・地方自治体が絡んだ大掛かりな裁判になり、責任のなすり合いで長期化すると思う

被害者は何の手も打てずローンを抱えたままの不幸な家庭が増える・・・

検査機構が国の管轄下である事を理由に、国は超法規的に救済措置を取る必要があると思う

建築行政・マンション業界・設計業界を揺るがす“歴史的大犯罪”がたった一人で起きた・起せた!
・・・嗚呼ニッポン!!

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