第143号 「構造計算偽造事件2 」
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この事件が最近の最大の関心事です・・・好奇心からではなく、我々の設計業界の危機だからです “何と言う馬鹿な構造設計士だ”と怒りつつも “起こるべくして起きた事件“と言う気がしています 元々設計事務所の経営は大変ですが、特にバブル崩壊以降の建築不況・公共事業の減少も影響し、業界全体の経営状況は(日本の誇る日建設計ですら赤字になるほど)困窮しています 建築業界全体ではゼネコンの“設計施工”が圧倒的シェアで、全建築マーケットの95%と聞きます(・・・直に設計事務所経由の仕事は全建築マーケットの5%!) ・・・設計も工事も建築会社が受注し、設計能力が無い中小の施工会社は設計事務所に下請けに出す 更にその下に今回の構造事務所がいる ・・・設計施工は原則禁止のはずなのに、施工会社が一級建築事務所登録をすれば、設計施工がOKになると言う曖昧さが背景にある つまり監理・検査無き建築工事(図面通り工事がなされている事を確認出来ない物件)が95%という事です 1級設計士が日本中に27万人いると言うが、大半がゼネコンの下請けで働いている事になる この仕組みの中では(自前で生活が成り立たない以上)設計事務所の発言力がダンダン小さくなるのは当然 (悪い事と)解かっていても、お金を頂くゼネコンから頼まれれば“経済設計”してゆかざるを得ない現状がこの事件を生んだと思います 大げさに言うと、文化を軽視し経済優先で、質より量の拡大を図ってきた戦後の高度成長社会・建築業界の残した“忘れ物”です 曖昧な設計施工制度や、困窮している設計業界の現状に目をつむり、確認申請業務の強化・一級設計士制度の更新制度と言った(弱い物イジメ的)各論政策を引いても根本的解決にはならない 政治が真っ先にするべき事は、建設業界・設計業界を健全にする事です 監理体制を法的に確立する事です その為には、設計施工の悪しき習慣を止め、設計と施工を完全分離し、クライアントから設計事務所が直に受注する制度を急ぐ事です ゼネコンへの“遠慮”から解放され“中立化”した設計事務所は、“手抜き工事”からクライアントの利益を守るでしょう ゼネコンも設計事務所に下請けに出す以上、業界全体のコストは大きくは違わないはずです ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ しかし今回の事件で一番驚くのは たった一人で“国を揺るがすほどの、パニックを起せる”と言う日本国の脆弱さです 元請設計事務所のチェック・検査機構・現場監理等いくつものハードルを簡単に越え“倒壊予定ビル”が37棟も建ち この事務所は5年間で、190棟以上の構造計算をし、まだ被害が増える可能性がある・・・ 既に、建設会社が1社倒産し180名もの社員が失業し、元請設計事務所からは自殺者まで出て、 近々に“トリアエズ”37の訴訟が始まる・・・元請設計事務所・検査機構・施工会社・地方自治体が絡んだ大掛かりな裁判になり、責任のなすり合いで長期化すると思う 被害者は何の手も打てずローンを抱えたままの不幸な家庭が増える・・・ 検査機構が国の管轄下である事を理由に、国は超法規的に救済措置を取る必要があると思う 建築行政・マンション業界・設計業界を揺るがす“歴史的大犯罪”がたった一人で起きた・起せた! ・・・嗚呼ニッポン!! |