第230号 「私の車遍歴 ②」
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先週記した小林彰太郎氏の試乗レポートに “ジャガー(英)とベンツ(独)とランチア(伊)の比較試乗記”だったと思いますが “アングロサクソンの熱い血、ゲルマン民族の完全主義、ラテンの快楽主義・・・”と 言う下りを今でも覚えています ・・・“車は、歴史に育まれた民族の価値観を引きずっている”趣旨の名文に胸がと きめく思いでした・・・ 名古屋に“渡辺自動車”と言うブランド的修理工場があります 西武系の車が多く、工場には、シトロエン・ジャガー・マセラティー・フェラーリ等等、 世界中の名車が所狭しと並び、一日中見ているだけでも飽きません 中でもレストア中の“シトロエンDS”のような古い車の実物に出あえるのはここ位 です そこにサーブ99の修理に(しょちゅう)訪れるうちに、なんとも気の引かれる車に出 会いました・・・“ベンツ300SEL6.3”・・・通称縦目のベンツです 名古屋では(会社も、カーマニアでも)有名な会社の社長さんの運転手さんつきの 社用車で、真っ白で、大きくも、美しく、気品がある姿は、修理工場に入った瞬間に 周りにオーラを振りまきます “ベンツ600”と言う、各国のVIP仕様車のエンジンを市販車に移植した“モンスタ ー”だったのです 親しくなった渡辺社長に“イイ車ですねー”と話しかけたら“分けて貰えますよ”と意 外な言葉・・・ 恐ろしい!!・・・条件反射的・本能的・衝動的に“お願いします!”と、口が(本人 の承諾なしに)勝手に喋ってしまった・・・ 13年落ち250万円!・・・外観新車同様 価値が有るのか無いのか、安いか高いか解らない内に、 その天上人の社長さんは“悪い所は全て直して差し上げて下さい”と指示し、その 世界の名車は、完璧状態で、私の家に嫁いで来てしまった “おつうさん”がいきなり“与ひょう”の所へ来てしまったのです (出典“夕鶴”・・・超古!) 0-400加速が、40秒のゴルフ・30秒のワーゲン・20秒のサーブしか知らない外 車初心者の私が、スーパーカーをいきなり所有してしまったのです 後悔・驚き・嬉しさ・困惑・(妻の)呆れ・感動・・複雑系混乱の日々でした 今から25年ほど前の300馬力!・最大トルク50キロ! 大きさの割りに車体は軽く、0-400加速6.5秒(オートマ車が当時のポルシェよ り速かった) ・・・恐ろしいほどのパワーでした(モットも当時速い車は少なかったが・・・) カーグラフィック風に言うと “アクセルを踏んではいけません、靴の中で指を曲げて下さい・・・同乗者がむち打 ち症になります”の世界でした・・・ 東名高速走行中、フェラーリ308がスゴイ勢いで迫って来て並びました “ヨーシ”とアクセルを“踏んで”見ました、6.3は140キロから“首が曲がるほどの 勢い”で加速し、アット言う間にフェラーリはバックミラーの中で点になりました・・・ 若さの勢いの怖い体験でした しかし、2年位所有して手放しました(おつうさんと同じ様にご主人様の許を去って 行きました・・・)ベンツの古いオープンカー所有の歯科医さんの所へ ・・・6.3は速すぎた! 遅く走れない事は大きな欠点です! ・・・速さは一つの麻薬で、一つの欠点です 速く走れる車を遅いスピードで運転すると、ストレスが溜まる事を知りました (同じ様に、沢山儲かる会社は、利益が減るとストレスが溜まるのでしょうね ???) ・・・・・・・・・・・・・・・・ “禁断の木の実”を口にした人間は、恥じらいを知った代わりに快楽を覚えてしまっ た様です ・・・徐々に泥沼へと落ち込む序曲であった <・・・ポルシェ911へ続く・・・> |